産後うつ病のスクリーニングについて

1) EPDS(エディンバラ産後うつ病自己質問票)について

・EPDSとは、産褥期のうつ病を検出するために開発されたスクリーニング・テストです。
(質問紙の実際と版権については、岡野禎治他翻訳:産後うつ病ガイドブック、南山堂、2006をご覧ください)
・EPDSを用いる目的は、産後うつ病を早期に発見し、必要な援助を早期に提供することです。それによって、女性の苦悩を軽減し、家族の健康問題を予防することもできます。また自殺への進行を食い止めることが可能になります。

2) EPDS(エディンバラ産後うつ病自己質問票)を使う意義

・EPDSは、周産期うつ病の早期発見について、信頼性・妥当性が確認されています。
・通常の面接だけでは、軽症〜中等症のうつ病に気づけない場合があります。

 たとえば、女性のことを熟知していた専門家が、通常の家庭訪問だけでは、後にうつ病と診断された女性の60%しか識別できなかったとする研究報告があります。それは、女性が抑うつ気分について語るのをためらったり、産後であれば女性自身や周囲がマタニティ・ブルーズと解釈してしまったり、また、女性が身体症状のみを強調し、精神面について訴えないことがあるからです。つまり、産後うつ病は本人も周囲も気づきにくいものなのです。

・EPDSを用いることによって、産後うつ病を早期に発見できます。それによって、必要な援助を早期に提供できるだけでなく、女性の苦悩を軽減し、家族の健康問題を予防することもできます。また自殺への進行を食い止めることが可能になります。

・EPDS得点が、女性を医師などに紹介する際の重要な情報となります。
・EPDSを用いた調査が、女性が「気持ちを打ち明け」、医療保健の関係者が「それを聞く」ことのきっかけにもなります。自分のつらさを聞いてほしい、わかってほしいと思っている女性は少なくありません。

*こんなふうに役立った (工事中)

3) スクリーニングでわかること・わからないこと

・産後うつ病の可能性が高い女性を識別することが出来ます。
・ただし、うつ病の診断は出来ません。専門医による診断面接が必要です。
・また、うつ病の重症度の評価には向いていません。
・うつ病以外の精神疾患のスクリーニングはできません。
・擬陽性が含まれます。つまり、うつ病ではない人(うつ病以外の精神疾患や精神的に不健康ではない人、特に不安の高い人)も得点が高くなる場合があります。

4) スクリーニング質問紙を使う時期

・産後1〜2ヶ月、2〜3ヶ月、5〜6ヶ月が推奨されています。妊娠期、産後早期にも用いている例もあります。

5) スクリーニング質問紙の使い方

・EPDSの記入を強要してはいけません(拒否する権利を保障する)。
・回答は、プライバシーが十分に確保され、また必要時ゆっくり話ができる場所で行わなければなりません。また回答している間は、話しかけたり質問してはいけません。安心感がなければ正確に記入されないからです。
・EPDSを使用するだけで終わってしまってはいけません。その後のフォローが大切です。
・高得点(9点以上)というだけで「うつ病」と判断してはいけません。2週間以内に、必ず再評価(構造化面接+EPDS)することが求められます。
・EPDSは産後うつ病の発見とその対処についてトレーニングを受けた専門家によって用いられなければなりません。

6) 高得点(9点以上、あるいは14点以上)だったときにどうすればよいか

・うつ病の診断基準と照らし合わせます。抑うつ気分の持続、あるいは(またはそれに加えて)興味・喜びの喪失がある場合は、うつ病である可能性が強く示唆されます。
・リスク要因、背景因子をアセスメントします。
・精神状態、状況に応じて専門家に相談あるいは照会します。
・2週間後に再評価します。
・適切なケア、治療が継続できるよう援助します。
・子どもの発達、健康状態も合わせてアセスメントします。

意外と低得点だったら 

・うつ病以外の精神疾患、その他の精神的問題の可能性があります。
・高得点だった場合と同様の対応をします。

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