中には、とても依存的な女性もいるでしょう。その場合の工夫を考えてみましょう。
依存傾向が強いと、時間や状況に関係なく関わりを求めてくる場合があります。求められるままに対応していると、さらに要求がエスカレートしていくものです。
関わる時間や方法(窓口、電話、訪問等)の設定は対応する側が行うようにしましょう。その際、「今は話を聞けません」という言い方ではなく、「明日の○時からの30分間は、あなたの話をしっかり聞きます」というように、肯定的な表現で伝えるようにしましょう。
対応が難しい時、ついつい1人の人に任せてしまいがちになります。しかしそれは個人にとって重い負担になりますし、チームにとっても望ましいことではありません。
女性の強いエネルギーに巻き込まれないように、定期的にカンファレンスを開いたり、客観的立場で判断できる専門家に相談することが求められます。必要に応じて専門医につなぐことも大切です。
話を聴く際には、誠意をもって受容的態度で臨みます。信頼関係がここでも何より大切です。そしてどんなときに特に不安が高まるのか、女性とともに確認します。
どんなときに不安が特に高まるのか確認できたら、それに母親自身がどう対処できるのかを、ともに考えます。
たとえば、「夫の帰りが遅い時にだんだんイライラが強まってくる」という場合は、「夫から電話を入れてもらう」、「実家に行く」などの具体的な工夫を考えるようにしましょう。
話を聴く中で、母親自身がすでにできていること、頑張っているところに気づくこともあるでしょう。その場合は、言葉ではっきりとそのことを母親に伝えましょう。
誰かに認められる経験が母親の自信につながっていきます。自信がついてくると、依存的な態度も軽減してくるものです。
心身の不調や不安を強く訴えられると、そのことに関心が集中してしまいがちですが、それらは簡単に解決できる問題ではないことがほとんどです。
母親の不安にとことん付き合わず、どんなときに不安を忘れているか、不安が軽くなるかを確認してみましょう。不安を「なくす」のではなく、「忘れ」て、健康に生活できる時間を増やすことを目標にしましょう。
依存的な人の中には、不規則な日常生活を送っている人も少なくありません。そのことが不安や身体症状を強めている場合もあります。
日常生活に関心をもって聞いてみましょう。日常生活を整えることで心身の安定につながる場合があります。
不安が強まってきたとき、頼れるところが1つしかないと、それは女性にとってもつらいことです。援助を求められる人が他にもいないか、ともに確認しましょう。
家族や知り合いでなくても、地域にある相談窓口やインターネットなど、さまざまな資源を探ってみましょう。
自分自身の不安への対処に精一杯になるために、あるいはうつ症状のために、子どもへの関心が低下したり、養育が不十分になったり、不適切になる場合があるかもしれません。
女性のことだけでなく、子どもの発達や健康状態にも十分に留意しましょう。